謝罪大国ニッポン (星海社新書)

著者 :
  • 星海社 (2016年8月26日発売)
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感想 : 9
4

「すみません」が既に挨拶代わりになってるような感がある日本
である。かく言う私も派遣先でのお客様対応で「申し訳ありませ
ん」「すみません」を口にしない日はない。

なかには「お姉さんが謝ることじゃないから」と言ってくれるお客
様もいるけれどね。稀に「それ、こっちが謝ることじゃないだろう」
と感じるお客様もいるんだわ。

余談だがお客様からよく「お姉さん」と呼ばれるのだけど、心の中
では「おばさんだけどね」と思ってにやにやしている私である。

要は私たちスタッフはストレスのはけ口なんだね。だから、心の中
で「けっ!やってらんないわ」と思っても神妙な声で「ご迷惑をおか
けして誠に申し訳ございません」って謝る。

しかし、なかには思っていることが声の表情に出てしまい、火に薪
をくべちゃうスタッフもいる。で、お客様の怒りをMAXにさせちゃう。

こうなると上もお客様の怒りは収まらない。するとどう
なるか。「詫びに来いっ!」と上司共々、お客様の指定場所へ謝罪
に伺う次第となる。

謝罪っていかに誠意が伝わるかなんだと思う。古い話だが、本書で
も取り上げられている山一證券不祥事の際の社長の記者会見が
ある。

「みんな私らが悪いんであって、社員は悪くありませんからっ!どう
か社員に応援をしてやってください。優秀な社員がたくさんいます、
よろしくお願い申し上げます、私たちが悪いんです。社員は悪うご
ざいません」

号泣しながら訴える社長の謝罪が功を奏したのか、会社解散後の
山一社員はほぼ再就職に成功している、伝説の謝罪会見でもある。

同じ号泣会見でも政務活動費の不正受給の元兵庫県議ののちゃん
は違った方の伝説だったけど。

良い謝罪会見・悪い謝罪会見を実例を挙げて解説している。大麻所
持で捕まった勝新太郎の「もうパンツははかない」は名言だし、勝新
であればこそ、この言葉で許されたようなもんだよね。勝新じゃない
芸能人だったら総バッシングだったと思うわ。

そして、ネット空間に氾濫する独りよがりの正義を振り回し、誤った
情報を伝えても絶対に謝らない「謝ったら死ぬ病」。これに関しては
著者の実体験が記されている。これはネット空間だけじゃなく、実
社会でもいるわ。「ごめんなさい」と一言で済むものを、ダラダラと
言い訳を並べ立てる人って。

華道や茶道のように、形式や所作を重視する文化がある。それは
謝罪にも当てはまると著者は言う。日本には「謝罪道」なるものが
存在しているとの話に納得。

なので、私は派遣先で謝罪道を極めようと思う。それ以前にお客様に
謝らなければならない事態にならないことが一番なんだけどね。

(小声で)他のスタッフのミスで平謝りするのが一番嫌いだわ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月24日
読了日 : 2017年2月18日
本棚登録日 : 2017年8月24日

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