死んだ金魚をトイレに流すな ―「いのちの体験」の共有 (集英社新書)

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  • 集英社 (2009年2月17日発売)
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感想 : 14
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え?なんで金魚が死んだらトイレに流すの?なんで飼い猫の餌にしちゃうの?
いくら集合住宅だからって、それはないだろう。

子供たちに「いのちの教育」「死・の教育」をするにはどうすればいいかが
テーマなのだが、上記の大人の行動が私には衝撃だったな。

人間を含め「生き物」を「ただのモノ」として扱うことは、おかしな生死観を
植えつけることになるんじゃないのか。だから、「死ぬ」ということが分から
ない。人に危害を加えることに疑問を持たない。

エスカレートするいじめ、それに起因した自殺、他者への暴力。想像力の
欠如と、命の大切さへの無知。それは子供だけに限らない。だって、子供
の世界は大人の世界の縮図なのだから。

最近、介護福祉施設での利用者への暴言・暴行が問題視されている。
身体の自由が利かない人でも、高齢者特有の症状を抱えている人でも、
それは命を全うしようとしている「生きている人間」なのである。

子供に「いのちの教育」が重要なのは勿論だが、大人も今一度、考えて
みる必要があるのではないか。

他者の痛みを自分の痛みとして想像出来るのであれば、「誰でもよかった」
なんていう無差別殺人だってなくなるのではないか。

人を殺してはいけません。それは理屈ではなく、ダメだからダメ。著者の
意見に賛同する。でも、日本って国は国家が人の命を奪う国なのだよな。

本書は道徳を説教臭く説くのではなく、著者のいじめ体験を基調にして
日常生活のかなでの子供との接し方等で優しく説いてくれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年3月13日
読了日 : 2012年3月13日
本棚登録日 : 2012年3月13日

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