沖縄の怒り: コザ事件・米兵少女暴行事件 (文春文庫 い 16-6)

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  • 文藝春秋 (1996年6月1日発売)
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感想 : 4
5

先の大戦での敗戦後、沖縄を占領した米軍は沖縄に住まう人々を
「ジャパニーズ」とは呼ばず「オキナワン」と呼ぶ。

その沖縄での米兵の傍若無人ぶりに人々は耐えに耐えた。交通事故は
日常茶飯事、街中で銃はぶっ放す、女性への暴行事件の多発。しかし、
基地内とそれに付属する施設に逃げ込んでしまえば、どんな犯罪を犯
そうとも沖縄側に身柄を引き渡されることもなく、軍事法廷にかけら
れたとしてもほとんどが無罪判決となる。

理不尽さに耐えて来た沖縄の人々の怒りは、ある夜に起きた交通事故を
きっかけに暴動へと発展する。本土復帰を目前とした事件に、日本政府
はアメリカの顔色を伺うのに懸命で、沖縄の人々の心情を理解しようと
もしない。

「沖縄住民の気持ちはわかるが、戦後二十五年ようやく国政参加も達成し、
あと一息で返還という大事な時期だから、相手に悪い印象を与えても困る。
それが一番心配だ」。

コザ事件を受けて当時、首相であった佐藤栄作の言葉が「アメリカ
第一」を端的に表わしている。

そして、在沖縄米軍幹部は米軍が沖縄に自由と福利厚生を沖縄に
もたらしているのだと主張する。

ベトナムで、イラクで、そしてアフガニスタンで、アメリカは沖縄で
したことを繰り返しているようだ。「自分たちは救世主である」。
そんな考えて他国をかき回し、アメリカ化して行くことにしか存在
理由がないのか。

現在でも基地の街では米軍関係者の引き起こす事件は絶えない。
とっとと出て行ってくれないだろうか、アメリカ軍。

尚、本書は◎な良書である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月17日
読了日 : 2009年10月19日
本棚登録日 : 2017年8月17日

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