人工知能 人類最悪にして最後の発明

  • ダイヤモンド社 (2015年6月19日発売)
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感想 : 55
3

人間との対話を通して成長するはずだったアメリカ・マイクロソフトの
人工知能「Tay(テイ)」がTwitterに登場したのは2016年3月だった。

しかし、Tayはわずかな時間で差別的な発言をするようになり、早々に
運用が打ち切られた。Tayは他のユーザーの差別的発言から学習し、
急速にレイシストになってしまった。

人工知能は人類の未来に大いに役立つ。ソフトバンクの「ペッパーくん」
は人間の感情を感じ取って会話が出来る。ホンダの「ASIMO」は人間の
生活空間で活動出来ることを目的として開発された。

しかし、薔薇色の未来だけではないと人工知能の危険性を説くのが
本書である。

工学とか科学技術とか、本当に苦手でよく理解出来てはいないのだが、
遠くない将来に人間並みの知能を備えた人工知能が誕生し、自ら進化
をするようになるとあっという間に最高の知能を持つ人間を凌駕する。
更にその人工知能が意識を持ち、人類が自分たちにとって邪魔である
と判断したら、人類を滅ぼすこともあるってことらしい。

著者はジャーナリストではあるが、人工知能の研究者の中にはその危険
性に気付き、開発から手を引いた人もいるとか。

何かに似ているな…と思ったら原発だった。原子力発電は「夢のエネルギ
ー」だと言われた。しかし、原子力の研究者のなかからは夢のエネルギー
どころか人類にとって極めて危険性の高いものだと言い始めた研究者が
出たものな。

テクノロジーの進歩は諸刃の剣なのだと思う。本書のように有効性を次々
と否定し危機を煽るのも問題提起として読めばいいのとは思う。確かに
危険性は内包しているとは思うんだ。

だって、私たちはあまりにもテクノロジーの虜囚になってしまっていはしない
だろうか。スマートフォンをはじめとした携帯端末は生活に欠かせない道具
になり、地図を見ることなくカーナビが誘導する通りに車を走らせる。

いろんな道具の発達でそれに関わる時間は短縮された分、ほんの少しの
時間待たされてもイラついて不機嫌になっている。

もし、順調に人工知能の開発が続いて仕事も家事も人工知能がしてくれる
ようになったら、人間は何をすればいいんだろうか。

私が生きているうちにはないだろうけれど、地球上にターミネーターが溢れ
たら怖いわ。いや、シュワルツェネッガーのターミネーターは人類を滅亡か
ら救ってくれたけれど、シュワちゃんの敵として出来るようなターミネーター
ばっかりだったら怖いよ~。

と、途中から本書の内容が同じことの繰り返しで飽きて来たので妙な妄想
をしてしまった。

原発にしろ、人工知能にしろ、人間が制御出来ないものを作ってしまったら
利便性と危険性は表裏一体なんだな。果たして人類の未来に待っているの
はユートピアなのか、デストピアなのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月24日
読了日 : 2017年1月24日
本棚登録日 : 2017年8月24日

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