暴力団排除条例は全国の都道府県すべてで実施されている異例の
条例だ。しかも、その内容については各自治体ではなく警察庁の
ホームページに掲載されている。
暴力団の利益になることはしてはいけません。暴力団と交際しては
いけません。暴力団を「格好いい」と思わせてはいけません。
要はそんな条例なのだが、これ、処罰されるのは暴力団員ではなく
一般市民や企業の方なのだ。
民主党のとある大臣が暴力団員との交際を云々されて辞任せざるを
得なくなったことは記憶に新しい。
数十年前の話を持ち出されて攻められる元大臣は少々お気の毒
だった。だって政治家と暴力団なんて似たようなもんじゃないか。
同じように大物司会者と呼ばれた芸人が、引退を余儀なくされた。
これだって、何を今更…なのだ。チンピラ芸人がヤクザと仲良し
なんて驚くことじゃない。そもそも、芸能界とヤクザは持ちつ
持たれつの関係じゃないか。
結社の自由は憲法で認められている。だから「組」は認めましょう。
でも、「組員」は認めませんよ。ヤクザに人権なんかないし、そんな
ヤクザと付き合う人にも人権はありませんってのがこの条例だ。
本書では実際にあった事例を引きながら、暴力団排除条例の危うさ
を説いている。怖いぞ~、本人の知らないところで「交際者」とされ、
申し開きの機会も与えられないんだから。
著者も書いているが、これ、悪名高き治安維持法に通ずるものがある。
警察のさじ加減で、いかようにも解釈できる条例は暴力団だけではなく、
一般市民をも警察権力の監視下に置こうとしているのだから。
山口組6代目・司忍組長の出所映像を見ながら、「組長、格好いい~」
とか言っている私は警察のリストに載るんだろうか。汗。
- 感想投稿日 : 2012年11月22日
- 読了日 : 2012年11月22日
- 本棚登録日 : 2012年11月22日
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