4月も終わり近くになって気が付いた。今年は月に1冊、小説を読むと
決めたはず。あわわ…今月はまだ読んでいないではないかっ!
慌てて書棚を書き回し手に取ったのが本書である。海外のミステリーや
ハードボイルドを読み漁っていた10代後半から20代前半の頃、本書の
著者であるカトリーヌ・アルレーやフレドリック・ブラウンの作品が
大好きだった。
日本の2時間枠のサスペンス・ドラマの原作としてよく使われるアルレー
なのだが、テレビ・ドラマにしてしまうとかなり安っぽくでがっかりする。
本書の登場人物はたったの4人。破産に瀕した青年実業家とその妻、
皮革業者で冴えない中年男と女医であるその姉。
物語は4人それぞれの独白で構成され、破滅の最終章に収斂されて
行く。
悪女を書かせたら当代随一だと思っているアルレーだが、本書では
女の浅はかさを見事に描いている。
「女とは、同性の美貌や富には羨望や嫉妬を感じても、教養や頭の
良さには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ。」
塩野七生氏が『ローマ人の物語』のなかで書いていたが、アルレー
の作品には象徴的な女で溢れている。
悪女ミステリーの女王であるアルレーなのだが、作者自身、経歴が
一切不詳。現在も作家活動を続けているのか、存命なのかさえも
不明。本人が一番ミステリーだったりするんだよね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(海外)
- 感想投稿日 : 2012年4月28日
- 読了日 : 2012年4月28日
- 本棚登録日 : 2012年4月28日
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