原発「危険神話」の崩壊 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所 (2012年2月15日発売)
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感想 : 22
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たまには原発肯定派の意見も読んでみようと手にしたのが本書だ。

うん、思い切り肯定している。福島第一原発の事故で、原発の安全神話
が誤魔化しの上に成り立っていることがばれちゃったが、本書で著者が
主張しているのは「放射能は危険」という神話も崩壊したってことらしい。

曰く、福島第一原発の事故で死者が出ていないから…だそうだ。いや
いや。死者が出てもおかしくない事故だったが、偶然の連鎖で原子炉
の爆発が避けられたのではないんだろうか。

発がんリスクだけを比較すれば、放射能より塩分の過剰摂取や
喫煙の方が危険だと述べているのだが、そもそも比べるものが
おかしくないか?

放射能の人体への影響は一律ではないし、発がんだけを問題に
するの乱暴じゃないだろうか。

一時期、ヒステリックな反原発運動が盛り上がった。それへの反論
なのだろうけれど今後起るかもしれない健康被害を無視して、
「大した事故じゃなかった」と断定してしまうのは危険だ。

それでも、原発推進から一転、「原発ゼロ」を叫び始めた朝日新聞
批判や、話題になれば何にでも飛び付く武田邦彦批判、胡散臭い
自由報道協会批判は面白かった。

原発肯定派の人はこういう風に考えているのかという参考には
なった。だからって、私は肯定する気はないけれど。未だに
懐疑派です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年8月18日
読了日 : 2013年5月29日
本棚登録日 : 2017年8月18日

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