多くの人がインターネットに接する時代だ。接すると言うより、
生活の一部と言った方がいいのかもしれない。
何かしらのSNSを利用し、何かしらの痕跡を残している人が
ほとんどだろう。私もそんなひとりである。こうやって読書
感想文などを投稿しているのだから。
だが、人はいつかこの世から去る時が来る。その時、私達が
インターネット上に残した痕跡はどうなるのだろう。
数年前、そんな「デジタル遺品」の生前整理の仕方を紹介して
いたテレビ番組があった。
本書は同じ「デジタル遺品」でも、今でも(本書執筆当時)
ネット上に残された故人のサイトやブログ等を紹介している。
ある人は糖尿病の怖さを綴り、ある人はサイトが永遠に残る
ことを願い、ある人は娘を殺された父親の心情を書き残し、
ある人は伴侶の病をきっかけに闘病記を集めた私設図書館を
開設した。
ご本人の死後もアクセス数の多いサイトもあるが、多くは
膨大なインターネットの海の中に沈んでしまうのだろう。
サイトが利用しているサーバー変更で移転できなかったり、
サービスそのものが消滅してしまうことだってあるだろう。
だが、そこには生きることを希望しながら生き続けることが
出来なかった人や、希死念慮を書き綴って自死してしまった
人がいる。彼ら・彼女らの、人生の一片を垣間見せてくれる
作品だ。
インターネット上の情報は永久不滅ではない。長短はあれ、
いずれ消えゆくものだと思う。それは人の人生と同じなの
ではないかな。
死を前にした時、あなたはインターネット上の痕跡を
消しますか?残しますか?
- 感想投稿日 : 2023年10月30日
- 読了日 : 2023年10月30日
- 本棚登録日 : 2023年10月30日
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