「学力」の経済学

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  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2015年6月18日発売)
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教育のあるべき姿を、科学的に明らかにしようという著者の情熱が感じられる本。

エビデンスがないまま、日本の教育政策が決定される現状を疑問視しており、教育における実験の重要性を学ぶことができた。加えて、「非認知能力」「学習環境」が、子供の成長にどのような影響を与えるのか理解することができた。

ただ、著者も指摘するように、元データの大半が欧米諸国の実験結果であるため、研究成果を、文化が異なる日本の教育システムに還元できるかは不透明。
とはいえ、教育現場の問題改善には、机上の議論に徹するよりも、積極的な改革をして、現場でその都度修正する姿勢が望ましい(分析データの取得も可能)と感じた。

総括すると、本書の価値は、”子供の教育の在り方”を学ぶよりも、”硬直・閉鎖的な教育システムに対する問題提起にある気がした。
そして、個人的には「貧困家庭の子供」に問題があるというよりも、それを見過ごして改善しようとしない「裕福な家庭の大人」に問題があるのではないか?と思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 実用書
感想投稿日 : 2021年9月1日
読了日 : 2021年9月1日
本棚登録日 : 2021年9月1日

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