松下幸之助の憂鬱 (文春新書 983)

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年10月20日発売)
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感想 : 8

いろいろ考えるきっかけにはなったが、全体としてはイマイチだった。
松下幸之助の商売に対する熱心さを彼の生い立ちから読み解いた下りは、面白かった。多分、そういう理由なんだろうなと、納得してしまった。
その後の、松下幸之助が一旦は会長に退いたものの営業に復活したことを受けて、松下幸之助が後進を育てられなかったという指摘も、まあまあ妥当かなと感じた。
しかし、丹羽の「任して任さず」に関する発言から、常に松下幸之助の影響が及んでいたように解釈するのは、ちょっと違うのではないかと思った。別のところで最近読んだ丹羽の発言から感じたのは、「任して任さず」は任された部下側が独善ではなく、松下の経営、すなわち本書で強調されている「共存共栄」を実現できているかを自ら謙虚に振り返ることではないかと私は感じている。
本書のラストで、経営は暗黙知であり、最近 4 代の松下、パナソニックの社長は松下幸之助の直接の薫陶を受けていないからダメという指摘は短絡過ぎて、ガッカリだった。
ただ経営は暗黙知というのは、そうかもしれない。欧米の CEO は、人が変わると組織もガラッと変えることがよくある。これは、先代の暗黙知が組み込まれた組織では自分の経営スタイルに合わないから、自分に合うように変えているのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年2月21日
読了日 : 2015年2月21日
本棚登録日 : 2015年2月14日

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