どうして数学を学ばなければいけないのか。その経緯を人類史から問い直し、数学の本質を明らかにし、その面白さを体験してもらう。画期的に欲張りな数学の入門書。
p.186
1.大事なのは知識ではなくて、考える力である。
2.考えるのは楽しいし、わかればうれしい。
3.数学を学ぶことは、人間が陥りやすい「直感の誤り」を防ぐのに役立つ。
数学は嫌いという大人は多い。できる・できないがはっきりわかるので、少しでもわからなくなると嫌いになってしまう。また、個人差も大きい。日常生活には小学校4年生までくらいの算数で間に合うのに、高校までにかなりのレベルまで学ばなければならない。しかし、それにはちゃんと理由がある。というので本書を読んでみた。
第1部では、エジプト、バビロニア、ギリシャの古代文明ではどんな数学が誕生し発展したのかが説明されている。そして、現代の科学技術はもちろん、経済学にも数学が使われている。国家として国民の「数学のレベル」をある程度高めておかないと、現在の生活水準の維持が難しいのだという。また、個人にとっては、急いで結論を出したり直感的な判断に頼らず、しっかり考える力を養うことが必要なのである。
第2部では、「考える楽しさ」「わかるうれしさ」が具体的な問題を通して解説される。その中に「リボ払いの恐ろしさ」というのがある。無理なく返済できそうに見えるが、返せるお金も返さないことによって利息がふくらむので、カード会社にとって儲かる方法なのである。数学が賢い生活に役立つ1例である。
■目次
数学嫌いはなぜ多い?
第1部 数学とは、なにものか―数学の歴史(人類の曙
エジプトと数学
バビロニアと数学
ギリシャと数学
現代と数学
日本人と数学)
第2部 数学と、どうつきあうか―数学の面白さと効用について(できたよろこび、わかるうれしさ
適切な表現で「わかる」ようになる
論理的に考える
手を動かすのはよいこと
数学はしっかり使えば役に立つ)
数学者は頭がわるい
- 感想投稿日 : 2016年2月3日
- 読了日 : 2016年2月3日
- 本棚登録日 : 2016年2月3日
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