歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く (朝日新書)

  • 朝日新聞出版 (2022年12月13日発売)
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感想 : 9

 新聞に掲載された複数回の鼎談の再構成。その性質上、ある程度はまとまりがないし同じ内容が複数箇所で重複もする。半分は日本国内の問題、半分は主にウクライナ戦争について。
 後書きでは「エコーチェンバーを避け多面的な議論を展開」とあるがそうでもなく、3人とも安倍・菅政権に否定的。それ自体はともかく、たとえばコロナ禍対応では、他国との比較でどこまでが日本ひいては自民党政権の問題なのか。政権交代の可能性がほぼない現在、自民党政権は結局は国民が求めた結果ではないか。日本の今の有権者は政党政治があまり好きではなく無党派層が多数派という指摘と、社会の分断という指摘は両立しないのではないか。そういった複雑な考察よりも自民党政権嫌いが前に出ている。
 他方、ウクライナ戦争について、沖縄戦、原爆、日中戦争が日本人の心象に与えた影響や、社会契約論と国民の戦闘参加の関係など、日々の戦況から一歩離れた視点は新鮮だった。安易な類推には要注意とは思いつつも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2023年3月14日
読了日 : 2023年3月14日
本棚登録日 : 2023年3月14日

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