前半は2つの米朝首脳会談をめぐる動き。北は核を絶対に放棄しない、時間稼ぎ、というのが著者の見立て。シンガポールでは北朝鮮の主張を丸呑みした「ずさんな合意」だったが、ハノイでは政治的利益を追求したトランプの強硬化によりノーディールで終了。一方で冷え込んでいた中朝は血盟関係に復活。また第2章「米朝をかき乱した男」は、表題だけ見て習近平かと思ったが、実は文在寅のことだった。北を信じ擁護し続ける韓国(具体的には青瓦台)と欧米からの失笑・不満の様子。
後半は現在の北朝鮮の内情。元山葛麻と三池淵の観光開発はうまく行っていない。在平壌の中露大使館での情報収集方法は面白い。市場経済の導入により拝金主義や賄賂が蔓延している、とする一方で制裁の効果のほどは本書からは不明だ。
そして最後にほんの10頁ほど、第6章「解きほぐせない日朝関係」。北朝鮮の対日スタンスは米国次第、米朝関係と正の相関があるという。本書での日朝関係の扱いがそのまま、現在の北朝鮮問題における日本の位置づけを示しているのか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
朝鮮半島
- 感想投稿日 : 2019年6月9日
- 読了日 : 2019年6月9日
- 本棚登録日 : 2019年6月9日
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