同盟変貌: 日米一体化の光と影

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  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2007年5月1日発売)
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感想 : 3

・特段の裏話的なものはないようだけれど、01年~07年初頭の再編協議の経緯が流れに沿ってわかりやすくまとめられている。
・「トータル・パッケージ」派守屋次官は、日本の「主権」や「自己アイデンティティー」回復に執念を燃やしていたという。それが、同盟から離れるんじゃなく同盟の中で役割拡大という方向に行った。韓国とは異なるということかな。
・タイトルに「変貌」とあるけど、一体何が変貌なんだろう。通読すれば、多少なりとも同盟が双務的になった、と言いたいんだろうとはわかる。でも一方、現職DoD高官のこんな言葉もある。「日米間の認識ギャップは十年、あるいはそれ以上前から現在に至るまで、何も変わっていない…」
・変わったという立場に立てば、96年の共同宣言は所詮同盟「再確認」に過ぎず、このDPRIこそ「再定義」である由。
・親米、官邸主導というイメージの小泉官邸だけど、本プロセスではそうじゃなかったってのが目から鱗。国務省の事務方から見て、小泉・ブッシュ関係はイメージ先行で実体はなかったようだし、小泉総理は「憲法と安保条約の枠内」が基本方針だったという。章の一つは「官邸不在」ってタイトルになってるぐらい。
・福田官房長官は、04年参院選もあって米軍再編協議を引き伸ばそうとしたりし、「米国の言いなりにはならない」という気概があったという。他方、「ベーカーとの関係も踏まえ、福田には『親米派』のイメージが根強い。」という一節にまた目から鱗。
・ラム&ローレスのDoD側とパウエル&アーミテージの国務省側とが険悪となり、NSCも調整し切れなかったという。前者が暴走したのだとか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2011年12月10日
読了日 : 2008年1月7日
本棚登録日 : 2011年12月10日

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