異なる時期と媒体に発表した多様の論文集だが、テーマは2つに大別できる。1つは、日韓の境界の狭間。もう1つは、日韓の共感・連帯の可能性。
前者では、戦後初期の在韓日本人妻、抑留日本人船員、韓国人密航者と、絡まり合う大村・釜山収容所の存在。韓国で放映された日本製アニメとその無国籍性、日本版OPから韓国版OPへ。家族内で又は1人で日朝露のアイデンティティを持つサハリン残留者たち。本名は何か、また何を名乗るかが自己決定権となる在日コリアン。
後者では、著者は市民の連帯とネットワーク、「越境的なリージョナル放送」といったものに期待を持っているようだ。それ自体は意義あることだろうが、それが両国国民の中でどれほど広がりを見せるか、また政治面も含めた両国関係改善に繋がるかは悲観的に考えてしまう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
朝鮮半島
- 感想投稿日 : 2022年7月16日
- 読了日 : 2022年7月16日
- 本棚登録日 : 2022年7月16日
みんなの感想をみる