東・東南・南アジアにおける王朝、植民地、現代の各時代の政治思想を見る。
王朝時代は支配者の正統性に宗教が使われた。ただ、中国での「天」は仏教等と同じ「宗教」なのかは、自分にはやや引っかかった。また著者は、王朝国家につき、専制だった、人民はある程度の自由を持っていた、と対照的な2つの見方を紹介。
近代には西欧政治思想か流入。植民地国家でも宗主国は現地の中下級官僚育成のため大学を創設。また宗主国に留学する知識人も。伝統思想との関係では、一定の調和を見た孫文や康有為、朴泳孝と、否定した陳独秀、政治からの宗教排除を唱えたガンディーやジンナーなど様々だ。
WWII直後の政治体制については、独立指導層が王族か非王族か、民主主義と社会主義か、により異なった。しかし、多民族型社会、民族集団の利益優先により多くの国では政治社会が混乱。現在でも、「反自由主義型」民主主義、軍政、王政、共産党独裁といった政治体制が存在。
最後に著者は、中国共産党やスカルノの例を挙げ、王朝国家と伝統国家の断続性と連続性の2つの側面を指摘し、特に現在では反欧米型民主主義が主張を強めているとする。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
東南アジア
- 感想投稿日 : 2023年5月5日
- 読了日 : 2023年5月5日
- 本棚登録日 : 2023年5月5日
みんなの感想をみる