内政中心で、政局史の感が強い。特に戦後の部分。通史部分はかなり駆け足だが、他方で章ごとの両著者の対話が、解説になっていながら軽妙で面白い。
興味深い指摘いくつか。15年戦争の時代は、明治憲法体制の限界で、権力機構がますます分裂していく。開戦時にはまだ明治憲法、国家機構が正常に動いていたが、終戦時には崩壊に近く、「聖断」が必要だった。派閥は鳩山〜岸時代には定着せず、池田派と佐藤派に始まる。1960年代後半の革新自治体はオイル・ショック後の経済悪化の中で退潮するが、代わって現れたのは大連立型の地方政府、協調主義的な地方政治。小泉政治の後はテレポリティクスの限界とネットの普及、政治家の小粒化(この文脈で第2次安倍政権をどう見るか少し疑問)。
本書では解が必ずしも示されないが、疑問に思った点も。55年体制成立時は自民党長期政権は想定されていなかったが、約10年後の佐藤政権時には長期化の見通しが支配的になっていくという。この時期、革新自治体や学生運動が顕在化していたにもかかわらず、なぜなのだろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2021年7月6日
- 読了日 : 2021年7月6日
- 本棚登録日 : 2021年7月6日
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