『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』で紹介されていたので読んだ。
特に、議論(ディベート)するのに必要らしい「排中律」と「矛盾律」と「同一律」について知りたいと思って手に取ったのだが、「排中律」と「矛盾律」についてはよく分かったと思う。
「同一律」については見逃してしまったのか、索引にも単語が載っておらず、他の本を見るまでのお預けとなってしまった。インターネットで調べた方が早いような気もしている。
と、個人的な読書動機はさておき、本書は「論理学」を、記号や式を用いずに言葉で説明しようという試みがなされている。
著者曰く、現代論理学は「記号論理学」と呼ばれるくらい記号や式のオンパレードらしい。
確かに、図書館の論理学の棚の本をパラパラとめくって見ると、見慣れない記号や式が書いてあって慌てて退散してしまったので、著者の試みは正しかったのではないかと思う(文系脳)。
しかしながら、本書を読み進めていくうちに、「否定」の論理の段階で、「この論理学の考え方、既視感があるような…」と、全くの論理学ド素人のはずなのに思い始める。
そして、「かつ」「または」が出て来た辺りで疑惑が確信に変わり、極めつけに「ド・モルガンの法則」と「背理法」が出て来たところで
「これ、高校の数学か!」と内心叫ぶのであった。
記号や式を見ると拒否反応を起こしていたくせに、いざ「数学で見たあの図か」と思うと、「そっちを見せてくれたらパッとわかってたかも…?」と思ってしまうのだから現金なものである。
しかし、そうは言っても、懇切丁寧に説明してくれているので、言葉ならではの味わいや、数学では自明のこととされていたのが、実はある一つの立場に立った物の見方だったのだ、ということが分かり、新たな発見があった。
というわけで、本書を読む際には、数学が好きな人は高校数学の教科書を横において、数学を見るのも嫌な人は同著者が書いた(監修している)『ロンリのちから』のようなイラストつきの本を手引書として読むと、より分かり易くなるかもしれない。
もちろん、この本だけでも分かるように書かれてはいると思うが。
最後に、メモがてら、「排中律」と「矛盾律」について、理解したことを書いておく(論理学ド素人なので、理解が間違っていたら悪しからず)。
◎排中律:Aまたは(Aではない)
(例)結婚しているか、していないかのどちらか。
…ただし、これを採用できるのは「実在論的立場」(神の視点)に立つ時のみ。「A(例えば、赤)」と「Aではない(例えば、赤ではない)」の間にキッパリと線を引き、中間を認めない・排しているので「排中律」と呼ぶ。
これに対し、「赤からオレンジの間、どこからが赤・赤でないという線引きをどうやってすんの?無理だと思うんだけど」という人間視点に立ったものを「反実在論的立場」と言う。
◎矛盾律:(Aかつ(Aではない))ということはない。
(例)「大学生かつ大学生ではない」ということはない。
…これは、実在論的立場でも反実在論的立場でも採用する。
- 感想投稿日 : 2017年2月6日
- 読了日 : 2017年2月6日
- 本棚登録日 : 2017年2月6日
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