トランプ大統領の人となりと考え方を知りたかったので購読。
自伝のタイトルは『THE ART OF THE DEAL(取引の芸術)』だと聞いていたので、「この本で合ってる?」と不安に駆られたが、何ページかめくったら分かる通り、この本で間違いないようだ。
さて、原著は1987年、つまりトランプ氏が40代前半の時に出版された自伝である。
本書を読むと、彼の原点(バックボーン)は、「建物を建てる」ことにあるように思えた。
「不動産王」とか「資産家」と聞くと、何となく、自分は動かずして、指一本で右から左に何億という金を動かしていそうなイメージがあるのだが、トランプ氏の場合は、どうも違うようだ。
どういうことかと言うと、トランプ氏の父親が大工を経てデベロッパー(開発業者)になった人で、トランプ氏も父親の事業を手伝っていたため、トランプ氏は建築の知識を持っている。
そのため、彼は、ただ土地や株を買ったり売ったりするだけでなく、「どのような建物を建てるか」「どのように建物を作るか」を自ら知恵を出して実行に移している。
建築の知識があるから、金をかけるべきところと、節約すべきところが分かり、そのためいつも予算内で高層ビル等を建ててみせる。また、毎日現場に赴き、発破をかける等することで、必ず期日内に完成させる。
もちろん、彼がのし上がった理由は、他にも色々見て取れるが、私が一番「トランプ大統領はこういう人なのか」と感銘を受けたのは、このような「地に足の着いた、有言実行する人物」という部分であった。
トランプ氏は、その「予算内で、期日内に完成させることができる」という強みを生かして、ニューヨーク市が手掛けていたが6年経っても完成させることが出来ず予算も大幅に超過していたスケートリンクを、その後を継いで事もなく4か月で予算内に完成させてしまう。
本書を読むと、アメリカの人達が、トランプ氏を大統領にと投票した気持ちも分かるような気がする。30年以上前から、問題発言はあるにせよ、有言実行の有能なやり手である様を見てきているわけだ。
また、「メキシコとの国境に壁を作る」と言っているのも、「建築が得意分野で、象徴として建築物を建てることを重視しているからだろうか」と空想した次第である。
これは私の勝手な妄想だが、本書の内容を、今のトランプ大統領の言動や政策とリンクさせて考えるのも面白いかもしれない。
- 感想投稿日 : 2017年3月7日
- 読了日 : 2017年3月7日
- 本棚登録日 : 2017年3月7日
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