僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)

  • 文藝春秋 (2017年2月17日発売)
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感想 : 109
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京大名誉教授でありかつ詩人の永田和宏氏と山中伸弥氏、羽生善治氏、是枝裕和氏、山極壽一氏という超一流の人たちの講演とその後の永田さんとの対談を収録したのが本書である。

山中さんとの対談では、大学はそれまでと違い答えがある問題の正解を探すのではなく、誰も答えを知らない、もしくは答えがあるかどうかもわからないが、大切な「問い」を自分で見つけるという態度を学んでほしい、というところが心に残る。大学に入ったときにまず第一に欲しい言葉だ。自分はこれがわかっていなかった。

羽生さんとの対談では、ミスをした直後には後悔して過去に引きずられることなく「自分の将棋は次の一手からはじまる」とその場に集中する、というところが心に残る。それはすでにもう起こったことなのだ。

是枝監督が、名作『そして父になる』でのリリー・フランキーの深い演技に触れるところは印象的。ぜひ読んでほしい。

山極教授が、他の霊長類と比べて人間の一番重要な能力は「諦めない」というところという視点は面白い。

それだけの人からは、やはりとても素敵な話を聞くことができるのだと思う。
本として、軽く読める分量。対談本としては、コンセプトも理解できるし、よくできている方だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2020年1月3日
読了日 : 2019年11月26日
本棚登録日 : 2019年12月1日

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