「知の衰退」からいかに脱出するか?

著者 :
  • 光文社 (2009年1月23日発売)
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本棚登録 : 1392
感想 : 182
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ここ最近の大前さんの主張を集大成したような本です。日本の「集団IQ」の低さゆえの衰退に警鐘を鳴らし、集団(国)に頼るのではなく、個人の自立を促しています。

日本の政治、マスコミ、リーダーシップ、金融、官僚制度、年金制度、教育、マンガ、などが知の衰退を招いたもの、もしくはその証左として挙げられています。

例えば、偏差値教育を"考える力"を奪うものとして断罪しています。明示的に書いてはいないですが、偏差値教育はその勝ち組(=いい大学に入った人)に極端にリスク回避的な行動を(リスクもリターンも考えない中で)取らせる弊害があったのか思います。もしかしたら日本に生まれたというある意味生まれてこの方勝ち組にいる中で、日本全体がリスクを取ることができず、よって考えることもできなくなっているということなのかもしれません。そういう中で仲間の中だけで通じる取引特殊な能力だけを磨いて、結果会社の中でも、社会の中でも動きが取れずに外的ショックが起きるまで保守的行動を取ることが多くなっているとも言えます。

本の中では、胸に手を当てて考えてみよ、ということでいくつも質問を挙げていますが、その最後の質問が「この本を読んで、今日からあなたはどのように行動しようと思いますか?」です。結局はこれが大前さんがこの本で言いたかったことなのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2009年12月26日
読了日 : 2009年3月26日
本棚登録日 : 2009年3月26日

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