BCGやアクセンチュアで長く経営コンサルティングをしてきた著者が、その経験と知識からこの100年間の経営戦略の発展を物語としてまとめている。INSEADにも所属していた時期があるということで学術系の話もしっかりしている。「バラバラだった知識が俯瞰され、統合されることの衝撃と楽しさを、みなさんに伝えられたら最高です」と書かれているが、中小企業診断士の試験で勉強した断片的知識が繋がってまさに腹落ちした一冊。
経営戦略の歴史をテイラー、メイヨー、フェイヨルを源流として語るのも本書でそう言われると納得する。現代思想の源流をニーチェ、フロイト、マルクスに求めるのとどこか似ている。人に納得させるある種の形式というのがあるのかもしれない。
ところどころに挟まれる経営戦略の巨人たちのバーチャルな寸劇も失敗していない。
ポーターの『競争戦略論』やバーニーの『企業戦略論』ももう一度読んでみようかなと思う。本書でスーパージェネラリストとされたミンツバーグの『戦略サファリ』もこれを読んでから読むともう少し分かるかもしれない。
経営戦略に興味を持っている人ならぜひ読んでみてほしい本。「全史」というタイトルに負けていない。
AmazonやGoogleなども最新の事例として位置付けれられている。
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それにしても、この表紙は戦略的にどうだったのか。
紙の本では、紙面の下部4分の1で関連する書籍や論文、人物を紹介しているらしいが、電子書籍版ではそれがなかった。少し残念。電子書籍ならではの同じような工夫もできたのでは。まだまだ電子書籍版は少数派ということなんだろうな。
- 感想投稿日 : 2013年8月4日
- 読了日 : 2013年7月8日
- 本棚登録日 : 2013年8月4日
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