だるまちゃんとてんぐちゃん

著者 :
  • 福音館書店 (1967年11月20日発売)
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5

10代の頃、急に仲良くなった友人がいた。
若い時によくある勢いのある距離の詰め方で、いつも一緒にいて
なんでも話した。親友のように、周りからは見えたと思う。

なんでも私の好きなものを「いいね!私も好き!」といってくれる彼女に対して
ある時から、あれ? と思い始めた。
服も、持ち物も、好きな食べ物も、すべてが私と同じなのだ。
特に服は顕著で、私が来ていた服とほぼ同じものを次に会う時には来ていた。
私が好きな芸能人を言うと、その人の髪型をし始めた。
私が彼女に言ったことは、彼女は自分の発言として他のクラスメイトに話していた。
私は、自分がその子の影になったようでとても嫌だった。
距離をとるようになった。


子供の時に大好きだった本。だるまちゃんはてんぐちゃんがとても好きで
羨ましくて、なんでも同じになりたいのだ。
自分の真似をするだるまちゃんをてんぐちゃんは「いいの見つけたね!」と
褒めてあげる。そして一緒に遊ぶ。

てんぐちゃん、懐がでかい。大人になって思うことはそれ一択だ。
さすが神の化身(の子供)である。
表紙のイラストも、てんぐちゃんは笑顔。だるまちゃんは真剣(そして負けている)
これはじゃんけんの結果じゃなくて、二人の性格を表している見事な表紙だと思う。

どうにも器の小さかった私をたまに思い出す。
絵本のように彼女と遊んでいられたらよかったのかもしれないけど。


※これを書いた翌日、かこさんが亡くなったニュースが配信された。どうか安らかに眠ってください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年5月6日
読了日 : 2018年5月6日
本棚登録日 : 2018年5月6日

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