やんぐとれいん

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年1月7日発売)
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本棚登録 : 39
感想 : 9
4

編。

同窓会・・・。高校の同窓会がある。それは一風変わった同窓会。行き先を決めず、青春18切符で日本を旅するのだ。参加者は6名。子供を失い夫婦関係が瓦解し始めている者、癌で余命幾ばくもない者・・・高校卒業して14年。彼らは『かわってない』ふりをするけれど、本当はあの頃とは大きくかわっている・・・。それぞれが歩んできた14年には様々なことがあった。あの頃とはみな違ってしまっている。彼らを乗せた列車は一体どこへむかうのか・・・。

いいね。人生の機微。哀愁。様々な要素が内包されてて、切ないお話。

32才。夢見るには若くない。人生を振り返るには若すぎる。そんな微妙な年齢の人々が主人公なのです。

私も中・高の同級生と会ったりすると感じます。あの頃は同じ地点にいたはずなのに、たかが数年でこんなにも違った人生になるなんて、とっても不思議だなって。

あの頃は確かに同じだった。同じ世界にいた。それなのにこんなにかわってしまったのはなぜだろう?同じ道にいたはずだけど、その道は知らぬうちに徐々に枝分かれして、年月を経るごとに遠く離れてしまう。そして気が付けば共有するものなんてない、別世界の住人同士になってたりします。

この本読んでふと思い出しました。石川啄木の

友がみな 我より偉く 見ゆる日は 花を買いきて 妻と親しむ

っていう歌を。

正直言えば、この本、物語が淡々と進みますので途中で倦み気味になったんだけど、でもやっぱりすごい。機微を穿つのがうまいんですよね。なんだか胸に沁みる本でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ★☆★ な行 ★☆★
感想投稿日 : 2007年3月14日
読了日 : 2007年3月14日
本棚登録日 : 2007年3月14日

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