日本の大正、昭和、第二次世界大戦までの建築の歴史を建築物と建築家、芸術運動と絡めて概説する。
アール・デコ、アール・ヌーボー、セセッション、モダンデザインの表現派、ライト派、バウハウス、オランダのモンドリアンのディ・スティル派からのコル・ビジュエ派など。
19世紀の産業化・近代化の台頭に伴い歴史・伝統主義が薄れ、様々な異国様式を導入したあと芸術は内省化し、植物→鉱物学→幾何学→数式の流れるモダニズムが新時代の表現として隆盛を極めるのであった。
興味深かったのは、鉄骨やコンクリートといった新しい素材をどのように活用するか19世紀の建築家たちが試行錯誤を重ねたこと。日本では耐震構造の問題からアメリカの鉄骨様式(関東大震災で壊れた)ではなく鉄筋コンクリートを使った独自の耐震技術が開発されたこと。
横河電機の創業者が横河民輔という建築家であったこと。
日本の都市計画が大蔵省の反対からなかなか資金的援助を受けられず、大正時代に用途地域制、建ぺい率などの建築制限、耐震制限、防火制限に行き着いたこと。
個人宅やプロジェクトなど散発的な場所が建築家の表現活動場所であったこと。
スラム問題から集合住宅の整備が行われ、イギリスではハワードのガーデン・シティ、ドイツのジードルングが日本独自の形で取り入れられ渋沢栄一の田園都市の開発や、同潤会が公営住宅を提供したことなど。
とても内容の濃い書籍だった。
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- 感想投稿日 : 2018年12月22日
- 読了日 : 2018年12月22日
- 本棚登録日 : 2018年12月22日
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