輪違屋糸里 下 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2007年3月9日発売)
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本棚登録 : 2055
感想 : 179
5

浅田次郎の新選組モノの女性目線版。
いやはや面白かった。一気に読んでしまいました。

物語としては文久三年の夏から芹沢鴨が暗殺される9月16日までの短い間の新選組とその周囲の女性達の物語。
一部沖田総司を語り部とする部分はあるが九割方は女性目線のお話。

この物語の面白いところは、史実上は我侭、酒乱、癇癪持ちの芹沢鴨を実に人間味豊かな本物の武士として描いている。
その反面、近藤勇は少し頼りなく、土方歳三は頭の切れる冷血漢として描かれています。

ペンの力の凄さを感じるこの作品は、題材が史実なだけに「大和屋の焼き討ち」「禁門の政変」最後のクライマックス「芹沢鴨暗殺」等の出来事は実際に起こったことですが、その史実に浅田次郎の推察(創作を含)で面白く味付けしてあり、史実を冷静に捉えないでこの小説だけ読むとまるで事実かと思ってしまう人が出るのでは?

もちろん浅田流の泣かせる部分もしっかりありました。

浅田次郎恐るべし!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月18日
読了日 : 2007年12月2日
本棚登録日 : 2023年2月18日

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