映画を見たことがあって、原作があることは知らなかった。友だちとカフェにいる間に貸してもらったのでぱらぱらと読んだら引きこまれた。
作家自身の人生のダークサイドが、静雄にあらわれているとおもう。それにしてもたまにはっとする言葉使いがある。こういう風にものをとらえられたら、と思うような新鮮な切り口。
今卒論でこむずかしい評論とか読んでて本読むのいやになってたけど、ああ、小説って、物語って、生きることなんだなぁと思った。死の気配が濃厚で、逃れられないものであればあるほど、主人公と静雄と佐知子の生の動きが、もっといきいきとみずみずしくかんじられる。
逆に主人公が死に直接たずさわらないところが、もっと死というものの深淵のふかさをあらわしている気がする。主人公はわりとこの世の地に足がついた感覚があって、人に怒られたり、セックスをしたり、殴られて蹴られて怪我をして、体を感じることが多い。しかし静雄はもっと得体の知れない、ギャンブルとか、血の繋がってない兄貴のこととか、母親の死とか、ばかりと関わっている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年1月5日
- 読了日 : 2020年1月5日
- 本棚登録日 : 2020年1月5日
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