「きみの鳥はうたえる」
映画との比較もたのしみながら読んだ。
21歳というどうでもいいようでいて実に繊細な年齢を、よく描いている。
全体として「不在」が物語の転換の鍵を握る。
「僕」がバイトをサボる→佐知子と関係もつ、
「僕」が海水浴をやすむ→佐知子と静雄がくっつく、
母の代わりに叔母の手紙→母の病気と死、など。
「僕」ははじめて佐知子とまともに話したときからセックスの感触を想像したり、殴ったり殴られたり、そういう身体の触れ合いが大切で、それ以外には無関心。
他者との接触を通じて自分を知るので、名前はいらないし、空気のような存在でいい(と信じている)。
しかし佐知子と静雄が「海」に出かけているときに、ふたり組に襲われて「魚」になった気分に陥るのだ。
この不器用さが、いい。
「草の響き」
はじめて「彼」に少年たちがついてくるシーンがめちゃくちゃいい。文学的なヤンキー。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2018年10月15日
- 読了日 : 2018年10月15日
- 本棚登録日 : 2018年10月10日
みんなの感想をみる