冷静な読み手、現代社会でごく平均的な生活を営む人なら、「手品だろう」とか、「書き手が面白おかしく誇張したりしている」というような可能性を考えるだろう。けれど、たとえ書き手自身の体験に脚色があるとしても、ドン・ファンや第二部に出てくるドン・ジェナロの言ったことを読めば「もしかしたら、こういうことも程度の差、個人差はあれ、ありうるかもしれない」と思うかもしれない。個人的にわたしはかなり親近感を持った。訳者のあとがきに書かれているような理解の枠組みでは決して十分に内容を理解することはできない、ということがわかるぐらいに。はじめの頃は書き手(カルロス・カスタネダ)と同じ程度の強度で書き手に語るので、読み手も段階を追って、追体験しやすいだろう。ドン・ファンの言葉のリアリティはこわいぐらい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外文学(翻訳)
- 感想投稿日 : 2012年11月18日
- 読了日 : 2012年11月18日
- 本棚登録日 : 2012年11月13日
みんなの感想をみる