ローズマリーの赤ちゃん [DVD]
- Paramount Home Entertainment(Japan)Limited(CIC)(D)
すごいゾクゾクさせる映画。
何か怖いものそのものを映すわけではない。
視点はローズマリーの視点。
現実的レベルにとどまるのか、超現実の介入があるのか、が最後まで明かされない極めて幻想的な作品。
見てて感づくとかそういう問題じゃない。
その物語の恐怖感/不条理さを感じることが大事。
狂気な人は狂っているように見えて、狂ってなかった。
狂ってない方が、変(狂気)だった。
すごい面白い。
もう、役者さん、得にローズマリーがすごい。
あの人の表情・演技でその場の不安感や恐怖感がビンビン伝わってくるかのよう。
家具や色合い、どこか悲哀を帯びた子守唄のような音楽まで、完全なホラーでに持って行くわけじゃなく、あくまでも現実と超現実の間をゆらゆらさせて、次に何が起こるかわからなくさせるあの感じが凄いと思った。
ロマンポランスキーって、やっぱ凄過ぎる。
恐怖とは、人間の想像の産物が生み出した悪魔とか、ゾンビとかが恐怖なのではなく、人間のなかにある邪が恐ろしいということ。
何を考え、どんな野心や邪心を持っているのか、人間の内面が見えないということが恐ろしいということ。
そしてローズマリーがようやく安らぎを見せるのは、悪魔の血を受け継いだ我が子をあやした時。
優しさと、そして言いようのない切なさの無慈悲なラスト。
静かに流れるテーマ曲が、母親になる喜びに溢れていて、愛する夫と生れてくる赤ちゃんと幸福になるつもりだった、そんな遠い昔の夢を見つめるような、悲しくも優しく流れる。
ホントに忘れないと思う。
ラストのローズマリーがゆりかごを覗き込んだ時のあの表情の複雑なこと。
自分がカトリックで、神の加護にある自分が生んだ悪魔の子、、でも、我が子は我が子。
あのショットで、この映画が100点の映画になった気がした。
ちなみに、、、
原作は『ローズマリーの赤ちゃん』のアイラ・レヴィン。
レヴィンはTIME誌かLIFE誌を読んでいて、妊娠中に鎮痛薬サリドマイドを飲んだ母親から障害児が生まれているという記事を見て『ローズマリーの赤ちゃん』を書いたらしい。
そして、
ローズマリーの赤ちゃん」の撮影終了の後、1969年、ポランスキーの妻であるシャロン・テートが惨殺されるという事件が彼を襲う。
それと、
この物語の舞台となるアマート「ダコダ・ハウス」は、ジョンレノンとオノヨーコが住んでたことでも有名らしい。
- 感想投稿日 : 2012年3月25日
- 読了日 : 2012年3月25日
- 本棚登録日 : 2012年3月25日
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