遅ればせながら、水谷先生の御本を初めて読みました。
印象に残ったのは、夜回り先生の情熱よりも、その人間らしくドロくさい苦悩ぶりでした。たくさんの子どもと関わり、救いの手を差し伸べ、いっしょに悩み、すぐに行動して、その子どもの存在を脅かす大人たちに敢然と立ち向かう夜回り先生は、いつも気丈なようでいて、実は自身が救ってあげられなかった子どものことをひたすらに想い、悩み苦しんでいた、と…。
これは子どものことにかかわらず、福祉や医療の専門職にとっては、いつまでもつきまとう苦しみです。おおくのひとびとの暮らしを守れたことに誇りを思っていいはずなのに、たったひとりのひとの暮らしを守れなかったことをいつまでも悔やみ続ける。あの夜回り先生も同じキモチを抱えているんだと知って、おこがましくも何だかとても近しい存在に感じられたのでした。
この本が最後の執筆作になるということで、水谷先生の声を聞く機会がひとつ減ってしまうのは残念ですが、いつか講演会などでお話を直接お聞きしたいと思いました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
社会系
- 感想投稿日 : 2014年3月22日
- 読了日 : 2014年3月22日
- 本棚登録日 : 2014年3月22日
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