"ハレルヤ"ってそういえばどういう意味だろうと思って調べてみたところ歓喜・感謝を表す言葉とのこと。私はなるほど!と感動した。私が感動したのは、ひとつにこの本におさめられた四篇はいずれも歓喜と感謝をあらわしているからで、その代表たる表題作およびこの本自体にこれほど相応しいタイトルもないなと納得したというのがあるが、もっと深くに私の胸を打ったのは、ハレルヤという言葉がひとつの語句の中に歓喜と感謝という展開を内包していたことに因る。
「歓喜する」というのは自動詞というか自分の意思とは関係なく反射的に起きる現象だが、「感謝する」というのは対して他動詞的であり、対象を要する。つまり、「何か自分にとって歓喜することがあり、それに対して感謝する」という、歓喜と感謝が起きる流れみたいなうつろいが"ハレルヤ"という言葉の中にはある。そしてその歓喜→感謝といううつろいこそが、小説(そして本の)「ハレルヤ」に描かれていることだと思った。歓喜だけ終わることでもなく、また何もないのに感謝するわけでもない。歓喜があって、感謝を行う。
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- 感想投稿日 : 2022年11月8日
- 読了日 : 2022年11月8日
- 本棚登録日 : 2022年11月8日
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