民主主義ってなんだ?

制作 : 高橋源一郎  SEALDs 
  • 河出書房新社 (2015年9月18日発売)
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感想 : 47
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作家の高橋源一郎氏と学生グループSEALDsの座談会。
前半は、SEALDsの成り立ちと活動内容が、紹介されている。どの様な経緯で結成され、どのような理念を持っているか、SEALDsの活動をなんとなく知っていた程度なので、その辺の興味、疑問は埋められた。
この本のメインである、民主主義とはなにかというのは後半部分で述べられている。
民主主義とはなんだ?という疑問が持ち上がるように、民主主義という言葉の定義は人それぞれ違う。
が故に、安倍首相のやっていることも民主主義といえるのだろう。
納得いかないけれど、それを頭ごなしに違うというのも違うのだろう。
アテナイの民主主義は、中央集権的な組織がないためアナキズムに近い。
それは私たちが現在考える民主主義とは随分違う。
物理的なことを考えると実現するのが不可能なので、現在の民主主義は直接民主主義ではないけれど、アテナイの民主主義というのが私の中での定義、理想に一番近いように思う。
国家という組織の中では難しいけれど、もっと小さな社会であれば実現可能である。
けれど、そうであるためにはそれなりのことも引き受けなければいけない。
そこの部分は、議会制民主主義であれ、同じだ。
直接的に関われなくても、主張と引き換えに相応のことを引き受けなければフェアではない。
ただ、どの場合もやはり憲法や規則があることが大前提である。人間は過ちを犯す生き物だということは忘れてはいけない。

いずれにしろ民主主義は面倒くさいものであり、自分たちの権利を主張するだけのものではない。
デモを起こしたり、民主主義について考えたり、意見したり、それらはとてもパワーのいることだ。
そういう意味では、学生運動というのも頷ける。
彼らには、大人にないパワーと行動力がある。そして、よく勉強しているなと思った。
彼らの逞しい運動を横目に見るだけでなく、同じように自分のこととして考えていかなければと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2016年3月21日
読了日 : 2016年3月20日
本棚登録日 : 2016年3月21日

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