去年古本屋で購入。図版入りで読みやすいかと思いきや結構重かった。ようやく本日読了です。
ジョルジュ・バタイユの最後の著作だけあって、この本以前に出されたエロティシズムに関する論考の中ではかなりまとまっています。一つの完成形体だと思いました。死の認識からエロティシズムが生まれ、労働から人間らしさが、そして芸術が生まれる。戦争が生まれ、そこから娼婦と奴隷制が生まれる。こういう人類史観は説得力があって面白いですね。
中身をざっくり言えば、絵画論と人物評(主にサド)です。解説したいトピックに関係のある絵画は図版で一緒に収録されていますから、絵を見ながら読み解いていくと徐々に分かってくる仕組み。ただし、文章自体はかなり文学的というか詩的な書き口なので、『エロティシズム』等他の著作も合わせて読まないと内容に関してはやや難解だと思います。
むしろ、「バタイユの世界を味わう」くらいの気軽さで、最初は余り考えずにパラパラとめくるくらいがいいんじゃないでしょうか。好きな人は好きになるでしょう。ただ、中国の処刑の写真などひたすら痛いしグロい箇所もあるのでそういうのに弱い人は閲覧注意。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
学術書
- 感想投稿日 : 2014年11月19日
- 読了日 : 2014年11月19日
- 本棚登録日 : 2014年9月26日
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