天璋院篤姫 下 (講談社文庫 み 9-5)

著者 :
  • 講談社 (1987年11月1日発売)
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本棚登録 : 171
感想 : 17
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上巻を読んだ段階では篤姫は理知的な女性という印象を受けたが、下巻まで読んでみるとむしろ「信念の人」だと思った。

篤姫と和宮(あるいは江戸方と京方)とで道徳観・家族観が噛み合っていない感じがするが、篤姫が信じて疑わない儒教っぽい道徳観は、朝廷や公家社会においてはあまり重んじられていなかったのだろうか?
夫である家定の弱さに対しては理解しようと努力したのに、嫁の和宮に対しては過剰な期待をしては「裏切られた」の繰り返しなのは、篤姫のこの家族観ゆえか。
皇妹であることを抜きにしても、嫁に篤姫自身と同レベル以上の強さを求めるのは無理があると思うが…

島津斉彬の陰謀や慶喜の人物像など、どのあたりまでが史実に基づいているのだろう。

幕府が瓦解した結果として篤姫は自由を手に入れ、和宮とも親しくなれたわけだが、それでも篤姫にしてみれば徳川幕府が続いていたほうが望ましかったのだろうか。

最後に、雷嫌いの篤姫がかわいい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月2日
読了日 : 2021年4月30日
本棚登録日 : 2021年3月15日

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