異星人の侵略者に支配された社会から、少年が自由を求めて旅立つ話。私はこれの旧訳を、その昔に中学校の図書室で読みました。全三巻の一巻目だけ。ハラハラドキドキ、途中にかわいい女の子と恋に落ちる場面もあって、すごくおもしろかったんだけど、〈2〉と〈3〉が置いてない。
「続きはどうなるんだよおっ!」と思いつつ、題名も著者の名前も忘れてしまってそれきりでした。でも大人になってからも、ときどき思い出すことがありました。あれの続きってどうなるんだろう。なんとかして読めないだろうか。でもなあ、手がかりと言えばなあ。ウェルズの『宇宙戦争』みたいな三本脚ロボットに追われる話だということ。あと確か、解説に、原題は〈白い山脈〉という意味だと書いてあったことくらい。たったこれだけなんじゃなあ。それにどうせ絶版で入手なんか無理だろう。
というわけで探しもせずにいたのですが、ああしかし、出てたんですねえ、新訳が。しかも前日譚を加えた全四部作となって! 文庫で! それをたまたま見つけまして、「うおお」となってしまいました。いやもう、うれしい驚きです。
少年の日の興奮を思い出しながら、四冊まとめて読みました。この『脱出』はシリーズ二巻目の体裁ですが、一巻目は後で書かれた外伝ですので、未読の方はこの巻から読むのがいいと思います。旧邦題は忘れましたが、私にとってこの『THE WHITE MOUNTAINS』は、あくまで『白い山脈』なのです。
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- 感想投稿日 : 2016年10月3日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年9月27日
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