ネット大国中国――言論をめぐる攻防 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2011年4月21日発売)
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感想 : 25
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「網民主」の到来?〜〜数億人のネット利用者を抱え、それが社会に与えるインパクトたるや絶大であることが容易に感じ取られる中国の昨今。ネット利用者の急激な増加が「リアル」な中国社会にもどのような影響を与えているのかを振り返りながら、今後どのような展開を見せていくかを考察した作品です。著者は、『チャイナ・ナイン』などの共産党深部に迫る著作が高い評価を得ている遠藤誉。

本書を読むに当たっては、著者が執筆を始めるに当たっての意図を記した「あとがき」から読むことをオススメします。インターネットの拡大とそれに伴う市民の情報発信・受信能力の向上が中国という文脈においていかなる意味を持つものなのかが端的に著述されており、「たかが」ネットの影響がとんでもない次元にまで及ぶ可能性があることを感じ取れるかと思います。


単に情報を上から管理するのではなく、一般の利用者と同じ地平に立って情報を誘導していくという中国の「官」の動き、そしてそれに対抗すべく知恵とユーモアを張り巡らせる「民」の動きにも、それぞれ別の意味で感心させられました。特に「民」の動きについては、それそのものが自己表現や情報への追求の表れとも映り、ネット利用者の大半を占める若者の持つ嗜好の一端を除くことができた気がします。

〜インターネットの到来という、「時代の子」としての中国は、共産党先制下にありながら、「社会主義国家」という政治体制を崩すことなく、否応なしに、中国独特の「民主」を模索することが余儀なくされているということができよう。〜

それにしても今の中国の地方の要職にいる人って大変そう☆5つ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年4月10日
読了日 : 2014年4月10日
本棚登録日 : 2014年4月10日

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