[31年と4時間の闘いの記録]「闇サイト」で知り合った男3名により,ハンマーで数十回にわたって殴打された上,窒息により息の根を絶たれた1人の女性。幼くして父を亡くし,母のかけ替えのない愛情に守られながら育てられた彼女の半生をたどると共に,凶行の最中の彼女が,そして犯行の後にその遺族が見せた尊厳を記録した作品です。著者は,『聖の青春』や『将棋の子』で知られる大崎善生。
今までに様々な書籍を手に取ってきましたが,読書中に涙と震えがここまで止まらなかった作品は今までになかったと思います。悲惨や凄惨という言葉が陳腐に聞こえるほどの犯行に戦慄を覚えるとともに,最期まで立ち向かい続けた女性の勇気に,形容しようのない衝撃を受けました。今年読んだ作品の中で何か1つと問われれば,私は即座にこの1冊を挙げたいと思います。
〜暴力に屈しない。言葉でいうのは容易いが,実際にやり遂げることがいかに困難なことか。それを一人の三十一歳の小柄な女性が,命という最大のものを犠牲にして成し遂げてみせたのである。〜
死刑存廃に関する議論を行うときにも欠かせない作品になるのではないでしょうか☆5つ
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年12月11日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年12月11日
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