日本精神分析 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年6月8日発売)
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感想 : 8
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柄谷さん初めて読みました。エッセイや講演集なので奥行きはそれなりなんですが、ラディカルな話がたくさんあった。

・言語と国家(ネーションについて)
・日本精神分析(芥川や言語を題材に、ナショナリズムや対外性について)
・入れ札と籤引き(菊池寛の作品から、選挙制度について)
・市民通貨の小さな王国(谷崎潤一郎の小さな王国から、資本と経済の在り方について)

の四章。

心に残ったのは

 カナや文字は外来だし、今もそう認識されているが、ヨーロッパなどはキリスト教は外来でも自国のものとして染まっている。
日本は借り物で構成されているのではなく、他国の文化に去勢されるのを拒否してきた。

 現在の選挙制では、秘密な分責任も曖昧で、買収や利権関係も起こる。
選挙+抽選の提案。

 資本よる搾取や、プルードン、リカード、マルクスへの見解を並べた上で、家族や古来の共同体にある互酬性、倫理を内包出来る非市場的な性質を持ちつつも、市場を維持(揚棄と言っていますが)出来るものとして、地域通貨を提案。

などでした。
現在の選挙制や資本の批判はいくらでも聞くのですが、右左に頼る事無く、しかも具体的なレベルで提案してくる(流行の新書の様な押し付けもなく)所や、地に足のついた考え方にはとても感心しました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年4月18日
読了日 : 2012年4月18日
本棚登録日 : 2012年4月18日

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