カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺

  • みすず書房 (2010年7月10日発売)
3.95
  • (8)
  • (22)
  • (4)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 148
感想 : 21
4

第二次世界大戦はナチス・ドイツのポーランド侵攻作戦によって始まるが、その時ポーランドの東側からは、ポーランドに住む人々を救うためという名目でソ連もまたポーランドに侵攻した。
これは独ソ不可侵条約が結ばれた時にヒトラーとスターリンの間でポーランドの分割が密約されていたからだ。
この侵攻作戦によって多くのポーランド国軍兵士がソ連の捕虜となったが、スターリンはその中から将校や聖職者など2万人以上を射殺するように命じ、死体はカチンの森の地面に埋められた。

ナチスがユダヤ人という人種の絶滅を図ることで第三帝国を打ち立てようとしたように、ソ連はポーランドの国を支える階級に属する人々を排除する事で、ポーランドという国を無くし、ソ連の支配地としてしまおうとしたのだ。
結局、情報公開、ペレストロイカを進めたゴルバチョフもこの事実を知りながらも認めることができず、ソ連がこの虐殺を認めたのはエリツィンが大統領になってからだった。

このカチンの森の虐殺が何を意図して行われたのか?
それをソ連が長く認めようとしなかったのかは何故なのか?
そして、ソ連と協力していた連合国、イギリスやアメリカはそれをどう捉えていたのか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション(海外)
感想投稿日 : 2020年5月23日
読了日 : 2020年5月23日
本棚登録日 : 2020年5月17日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする