月光のワルツと、シガレットの香り。
あの世界史レベルで有名な幻想譚『千一夜物語』、アラビアンナイトと関係があるのかないのか分からないけれど、『一千一秒物語』はとにかくヘンテコな物語だ。月と星をテーマにした幻想掌編小説集…と言ってみても、全然説明した気がしない。
おとぎ話の絵本みたいに幻想的だが、メルヘンというには少しヤンチャが過ぎるような気もする。ピストルをぶっ放してお月様を撃ち落としたり、流れ星と取っ組み合いの喧嘩をしたり、月の光で密造酒を作ったり…。サイレント時代のキネマみたいなドタバタ劇が繰り広げられたかと思えば、こんな詩が混ざっていたりもする。
お月様でいっぱいで
お月様の光でいっぱいで
それはそれはいっぱいで……
(A CHILDREN'S SONG)
月光を受けて煌めくビール瓶の破片、理科室に置き去りにされた年代物の天球儀…。そんな風に、この作品に触発された断片的なイメージでしか、内容を語ることができないのがもどかしい。タルホ・ワールドを語るには、私はまだまだ夢を見足りないようだ。
案外、子どもの方がタルホおじさんとすぐ仲良くなれるのかもしれない。「お月様とけんかした話」を小学生の息子に読んでやったら大笑いしていた。ルビのふられた児童版の出版が待たれるところである。
☆彡
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
近代日本文学(大正-)
- 感想投稿日 : 2019年5月14日
- 読了日 : 2019年5月14日
- 本棚登録日 : 2019年5月11日
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コメント 7件
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2020/07/31
佐藤史緒さんのコメント
2020/08/03
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2020/08/03
佐藤史緒さんのコメント
2020/08/05
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2020/08/06
佐藤史緒さんのコメント
2020/08/09
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2020/08/09