王妃マリーアントワネット(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1985年3月27日発売)
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本棚登録 : 1641
感想 : 128
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史実にある部分とフィクションを織り交ぜて、フランス革命前後を実におもしろく描いています。しかしここで言う「フィクション」とは、虚構とはまた違ったものだと思います。
史実にある点と点をつなぐ時に、「どうやったらこの点がつながり得るか」というあたりを実にクールに、そして情熱的に考えてできたのがこの作品なのではないでしょうか。
ハイライトは「首飾り事件」辺りだと思います。史実は史実としてちゃんと記述し、その裏事情をおもしろく、そして緻密に描いています。山師カリオストロを黒幕として登場させたあたりはさすがとしか言いようがありません。
主人公は題名の通りですが、たくさんの登場人物が作者に命を吹き込まれ、生き生きと動いています。実によく作られた群像劇だと言っていいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年10月14日
読了日 : 2017年10月14日
本棚登録日 : 2017年10月14日

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