宮本常一の文章は第1章のみ。あとはそれを受けた安渓さんの実体験や聞き書き、アンケートのまとめなどのわりと雑多な文章。も少し整理してもよいようには思う。
調査する側の傲慢、される側の迷惑が具体例を挙げてたくさん書いてある。借りパクは論外として、研究結果を還元しないなどの不義理を重ねていて、そりゃ学者が嫌われるわけだという話ばかり。良かれと思って発表した場合でも、地元の人を住みづらくしていたり、文化の手本になって固定化してしまったり、難しそうだ。無色透明ではいられない。
フィールドワーク調査をする人は少ないとして、InstagramやYouTubeにまで拡げて考えると、もはや調査という目的すらなく、責任も何もないまま、表示数を稼ぐために似たようなことは爆発的に増えているんだろうなと思う。
関与するからには、人間として誠実と友情を貫く覚悟が求められるが、安渓さんは調査対象の地域で米作りをして米屋になってしまっていたのはすごい。いいことなのか評価も難しい。
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- 感想投稿日 : 2024年1月11日
- 読了日 : 2024年1月11日
- 本棚登録日 : 2024年1月11日
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