近隣結合法を開発した統計遺伝学者で、人類学にも深い関心を持つ斎藤成也氏が著した日本史の本。一貫して統計遺伝学に基づいて日本史が議論されている...のかと思いきやそういうわけでもなく、既存の説明のサポートに氏の研究が使用されている感じで、若干の物足りなさがある。
それでも、3段階渡来説やアイヌ人とヤマト人の遺伝的交流、ヤマト人内部の遺伝的多様性など興味深い研究結果が次々と明かされる。著者が提案した新しい時代区分である「ヤポネシア時代・ハカタ時代・ヤマト時代・平安京時代・江戸東京時代」という概念は非常に野心的である。
天皇の在任期間について幾つかの仮定を置くと、ハカタ時代とヤマト時代の境目に神武東征にあたる出来事があったと推論できるという記述には、大いに想像力をかきたてられた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2017年7月23日
- 読了日 : 2017年7月23日
- 本棚登録日 : 2017年7月23日
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