饗宴 (岩波文庫 青 601-3)

  • 岩波書店
3.57
  • (90)
  • (114)
  • (248)
  • (14)
  • (5)
本棚登録 : 2189
感想 : 129
3

難しい…と思いながら読み終わってしまい、投稿まで時間が空いてしまった!
難しいと感じる最大の理由は、「エロス」という神が一つの人物像(人ではないけど)なのか、それとも恋や愛という概念として語られるものなのかがなかなか掴めなかったことでした
ネットに上がっている要約に助けられながら振り返ります。笑


物語はソクラテス含む6人が、ギリシア神話のエロス神を称えるという形式で進んでいく。
エロス=恋(少年愛)に関して、6人が様々な意見を戦わせる。

・古さゆえにエロス神は「善さ」の源泉であり、徳と幸福をえるために最も強い力となる
・エロスには2種類あるが、世俗的な恋ではなく、理性的な男性に対してのみ向かう恋が称賛に値する
・少年の美だけではなく、徳も同時に目指し徳を通じて善さの実現へと向かうエロスこそが称えられるべき
・完全なものへの欲望と追及が恋
・エロスは最も美しく高貴で幸福な神であり、正義の徳、慎みの徳、勇気の徳、知恵の徳を備えている

5人の意見に対してソクラテスは、
・恋とは善きものと幸福を手に入れようとめがける欲望である
・愛には段階があり、肉体の美も恋の入り口として必要
エロスは美への追及の道だという論を展開する。

…

自分の持っていないものや自分に欠けているものを相手に求める、というのは納得する。自分の知らない世界を知っている人や、自分が思い付かないような考え方をする人って素敵だなと思う。
一方で、自分と似ているところや同じ感じ方をする人に惹かれるということもあるけど、ある程度の同質性の中にあっても結局はその中の違いに惹かれているということなのかしら

そもそもこの饗宴の中では、恋と愛との区別があるのかな?世俗的な恋(男女の恋)を貶し、少年愛を貴ぶ意見もあったけど、ここではどちらも恋は恋なのでしょうか


どんなにどのような恋が善いものであるかを考えても、心はなかなかコントロールできないものだけど、恋が自身の美への追求だという着地点は面白いなと思った。
個人的には、歴史的にも現代でも「恋」はどちらかというと破滅として描かれるイメージがあるんだけど、それはわたしの中での恋っていうのは一時的な感情だからであって、ここで語られる恋とはまた違うのかなあ〜
果てしない笑


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月31日
読了日 : 2021年3月31日
本棚登録日 : 2021年3月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする