午後十一時のごちそう ~三ツ星ゲストハウスの夜食~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年3月25日発売)
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感想 : 6
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最初のお客様だった小町はホテルのお仕事をしていた人だったからノーカンとして、序盤はある分野の職業の方ばかりがお客様だったので、話のバリエーションとして大丈夫なのかと客の少なさとは別の意味で心配になった。
そして、小町の胃袋の大きさも。
深夜にあれだけ食べて太らないのは何でだ。

出てくる夜食が様々な国の料理を網羅しているのには本当に驚いた。
客の話からそれを言い当てるオーナーも、それを作れてしまうシェフもまだ若いのにハイスペックである。
小町のお母さんの料理も、他のお客様の料理も話だけからの再現は難しそうなのに(だから一度は失敗する話もある)できてしまう二人は一体どんな人生を送ってきたのだろうか。
その一端は見えてはくるが、あれだけでは語り切れない気がする。
特にシェフの彼は。

オーナーに関しては、ラストが彼の家族の話になるので、自然と見えては来る。
見えては来ても「やっぱりすげえ」という感想しか出てこない。
幼少期から特殊な環境下にいたのは間違いない。
普通の生活ではまず体験できないような、特別な経験。
世界は広い。

出てくる料理は、世界の「家庭料理」が多いので知らないものばかり。
描写が細かいし、小町の食レポが上手いので、非常に美味しそうである。
23時に食べるのは些かしんどいとは思うが、深夜だからこそ美味いこともあるだろう。
ゲストハウスというロケーションも手伝うから、余計に。
自分ならどんな料理を頼むだろうかと妄想も膨らんだ。
(ただ胃腸が弱いので、深夜に食べるとなるとリゾットになりそう)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(作者名:や行)
感想投稿日 : 2021年4月24日
読了日 : 2021年4月13日
本棚登録日 : 2021年4月13日

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