都市生活を独特の切り口で描写したギター・ヴォーカルの向井秀徳による詩は、それだけでNumber Girlという唯一無二の存在を証明できるのだが、音だけを切り出してしまうと、テレヴィジョン、ハスカー・ドゥ、ソニック・ユース、ピクシーズといった、80年代~90年代前半アメリカのポスト・パンク~オルタナティブ・ロックからの影響が全面に出ていた。しかし、ラスト・アルバムとなった本作は明らかに異質。アートワークを含め、おどろおどろしい雰囲気をかもし出している。
1曲目の"NUM-HEAVYMETALLIC"で民謡+ダブといった融合をはかり、続く"INUZINI"では祭囃子の要素を取り入れている。そんな和との融合に加え、"NUM-AMI-DABUTZ"ではこのアルバムの集大成を見せている。アヒト・イナザワの特異な変則的ドラミング、一人地道なリフを繰り返しながらも図太いグルーヴを生み出す中尾憲太郎のベース、妖気を放つあまりにも鋭い田渕ひさ子のギター・ソロ、ヒップホップ・クラシックとして知られるNASの『Illmatic』に影響を受けている向井が、自分なりにあみ出した「念仏ラップ」と彼特有の言葉の選択。
そういった比類のないオリジナリティが、アルバム全体に散りばめられている。日本のオルタナティブ・ロック史に爪痕を残す一枚。
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Music
- 感想投稿日 : 2011年12月16日
- 本棚登録日 : 2011年12月16日
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