書物輪舞 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2011年11月8日発売)
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本棚登録 : 128
感想 : 21
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世にでれば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、書物狩人。防衛省から消えた旧ソ連にまつわる機密本。チャウシェスクによる言論統制下で書かれた小説と正誤表。切り裂きジャックの真犯人に繋がる『黒い光』。宿敵、書物偽造師の企てに立ち向かいつつ書物狩人が、稀覯本に隠された物語を解き明かす(「BOOK」データベースより)

あー、これシリーズものの5作目だった。
図書館でふと目について手に取ってみたんだけれど、これは前の4作品を読まなきゃなー。
ひとつひとつが孤立した短編集なので、前作を読んでいないとわからない、という話ではないのですが、結構面白かったので、前の作品も追いかけてみようかなと思いました。

今回は、
ソ連秘密警察長官のリュシコフが持っていた本に隠された、アナスタシア・メモをめぐる攻防・・・「死すること許されぬならば」
在日米軍の将校につけ狙われるようになったのは、古本屋で万引きした一冊の本のためなのか・・・「書物の復讐」
チャウシェスク政権の検閲を免れるため作られた書物と正誤表、セットでの入手を依頼した喪服の女性の真意とは・・・「ダイヤモンドよりも永遠に」
切り裂きジャックは呪いの書により狂った高貴なる人物なのか・・・「やんごとなき犯罪」
の4編。
禁断の書を合法非合法を問わず入手する書物狩人、なかでも傑出した仕事ぶりのル・シャスールと呼ばれる№1、半井優一を主人公にした連作集なのですが、いやー本読みならぐいぐい引き込まれちゃうんじゃないかしら。
失われし国の皇女に、安らかなる眠りを捧げた第一話、CIA工作員の秘められた望みを叶えた第三話が素敵。
狩人の、フェミニストっぷりを堪能させてもらった作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あ行
感想投稿日 : 2012年3月10日
読了日 : 2012年3月10日
本棚登録日 : 2012年3月10日

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