文化人類学の古典的な名著であり、20世紀を代表する現代思想である構造主義を広く世に知らしめた『悲しき熱帯』の著者による写真集。著者自身が体験した1930年代のブラジルが、強い、共感と「Saudade(郷愁)」とによって紹介される。
現代思想の多くは、それまでの旧弊な西洋哲学への批判をその出自に持つ。表に出ている現象ではなく、その現象を無意識のうちに現前させている構造(システム)に着目した構造主義も例外ではない。著者は『悲しき熱帯』によって大きな名声を得たが、一方で、西洋という怪物の前では非力であったろう。著者の抱えるその間隙が、本書に深い透明感を与えている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
写真集
- 感想投稿日 : 2014年6月7日
- 読了日 : 2014年6月7日
- 本棚登録日 : 2014年4月5日
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