独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑) (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015年2月10日発売)
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感想 : 34
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ノンフィクションライターのphaさんがブログで「とてもうまい作家だ」と書いていたので、とっつきやすそうな短編集から手にとって見た。

多くのユーモアに共通する要素は「予定調和を裏切ること」だと思う。
・常識的に考えるとこうなりそうなのに、ならない
・文脈から推測するとこうなりそうなのに、ならない
・世界観に引き釣りこんだ上で、最後に重要な前提をひっくり返す
などなど。
本書の作品は、いずれも読者の予定調和を裏切るのが上手い。中身は風刺だったりブラックジョークだったりといろいろだが、我々が普段生活するのと同じようなシチュエーションに、違和感や非現実という石が投じられ、苦笑・爆笑につながる。
もちろん、発想がそもそも非凡なのも間違いない(モーゼとエジプト王パロとヤハウェが麻雀を打つというシチュエーションだけで十分面白い)。

良かった作品
白い虚塔
どんでん返し。本書の1番目の作品だが、冒頭からやられた。

Cafe Bleuetは元気です!
カフェの看板だけで語られる物語。断片的な情報にもかかわらず。裏側で人々にどういうことが起きてるのか映像で再生できるのがすごい。

麻雀出エジプト記
小ネタの一つ一つが面白くよどみ無い。難があるとすれば、麻雀放浪記(哲也でもいい)と聖書の出エジプトの知識が無いと意味不明なことくらいだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2019年7月3日
読了日 : 2019年3月17日
本棚登録日 : 2019年3月17日

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